椎名林檎の歌に寄せる徒然

 −君は産まれ 僕に出会い 春を憂い 秋を見た

まだ上の子が小さかった頃、よく彼の手をひいて散歩に出かけた。よちよち歩きの子の前に立ち、手をたたいて、おいでおいで、こっちこっち、と声をかけた。未舗装の駐車場に座り込んで、砂利を拾っては投げ遊ぶのを、飽きるまで何時間でもひたすら待ち続けた。

 −好きな人や物が多過ぎて 見放されてしまいそうだ

ある日その人は言った。いまぜんぶおわってしまえばいいのに、と。もうだめだ、と思うこともあるけれど、それでも私は歩き続ける。前に立って手を叩いて、彼を歩かせよう、彼女を歩かせよう、あなたを歩かせよう。人も自分も殺してはいけませぬ。私は人の3倍の苦しみを負っても人の3倍生きることに決めた。3時間しか寝なければそれもできぬことでもなかろうとたかをくくって行く。

 −もう我が儘など 云えないことは分かっているから

就職活動が芳しくありませぬ。この歳で小さい子もいてブランクもあって勤務時間に制約があってでは致し方ありませぬよねと、こんな雨の降る日には少しくらい落ち込んでも許されて良いのではないかと思うが、許されませぬか。よろしい、落ち込みなどしませぬから、もっともっと鞭をふるえばよい。いいえ、もはや励ましなど期待してはおりませぬが、もう許してくださいよもうそっとしておいてくださいよと本当は思っている。
雨のせいなんだ。